
「できるだけ自分でやって、費用を抑えたい」。開業前のオーナーからよく聞く言葉です。その気持ちはよくわかる。でも、やっていいDIYと、絶対にやってはいけないDIYがある。この線引きを間違えると、費用削減どころか命に関わる事故や、営業許可が下りないリスクすらある。
内装工事の費用の大部分は人件費です。職人の日当は1人あたり2〜3万円。塗装工が2人で3日間作業すれば、それだけで12〜18万円。ここに材料費、諸経費、会社の利益が乗る。
棚を1つ取り付けるだけでも、職人が現場に来る以上、最低1日分の日当が発生する。DIYなら材料費だけで済む作業に、人件費が上乗せされる。これが「全部プロに頼むと高い」理由のほとんどです。
逆に言えば、「素人でもできる作業」をDIYに切り替えるだけで、人件費分がまるごと節約できる。記憶荘では、この切り分けを最初の打ち合わせで一緒に決めます。
以下の3つは、法律・安全・保険の観点から、絶対にDIYしてはいけない。
【1. 電気工事】 電気工事士の資格がなければ、コンセントの増設すらできない。これは電気工事士法で定められている。無資格で工事すると、漏電による火災リスクがある。店舗の場合、電気容量の計算を間違えるとブレーカーが頻繁に落ちる。エアコン、厨房機器、照明——すべて同時に使っても落ちない設計が必要。
【2. 給排水工事】 キッチン、トイレ、手洗いの配管工事。水漏れが起きれば、自分の店だけでなく下の階にも被害が及ぶ。飲食店の場合、グリーストラップ(油脂分離槽)の設置が保健所から求められるケースもある。専門知識がなければ対応できない。
【3. ガス工事】 ガス栓の移設、増設は必ずガス会社の指定業者が行う。ガス漏れは爆発リスクに直結する。飲食店で厨房のガス配管をDIYする人はさすがにいないと思うが、念のため。
この3つを無資格で施工した場合、保険が下りない可能性もある。節約のつもりが、最も高いリスクを背負うことになる。

逆に、以下は素人でも十分にできる。むしろDIYした方が愛着も湧く。
【塗装】——節約効果:大 ローラーとハケがあれば誰でもできる。壁や天井の塗装は、下地処理さえ丁寧にやれば、プロとの仕上がりの差は意外と小さい。CROSSOVERの事例では、オーナーが壁と天井を黒に塗装。プロに頼んだ場合と比べて約15万円の節約になった。
【棚・ディスプレイの取り付け】——節約効果:中 インパクトドライバーと水平器があれば、壁への棚取り付けは難しくない。ただし、石膏ボードの壁にはアンカーが必要。下地の場所を確認してからビス留めすること。
【装飾・ディスプレイ配置】——節約効果:中 ポスター、植物、小物の配置は完全にオーナーの領域。むしろプロに頼む必要がない。
【家具の組立・配置】——節約効果:小〜中 IKEAやネット通販の家具は自分で組み立てられる。配置もオーナーが決めた方がいい。
【清掃・養生の一部】——節約効果:小 工事後の清掃を自分でやるだけでも数万円浮く。養生(工事前の保護シート貼り)も、やり方を教われば難しくない。
DIYにはデメリットもある。知った上で判断してほしい。
【時間コスト】 プロが1日で終わらせる塗装を、素人がやると3日かかることもある。その3日間、他の開業準備が止まる。工事全体のスケジュールに影響する可能性がある。
【仕上がりのばらつき】 YouTubeで見ると簡単そうに見える作業も、実際にやると想像以上に難しい。塗装のムラ、棚の傾き、タイルの目地の汚さ。「味がある」と思えるレベルならいいが、「雑に見える」レベルだとお客さんの印象に影響する。
【材料の無駄】 経験がないと、材料の必要量を読み間違える。塗料を多く買いすぎたり、木材を切り間違えて買い直したり。材料費だけ見れば安いはずのDIYが、ロスを含めるとプロに頼むのと大差ないケースもある。
【怪我のリスク】 電動工具は慣れていないと危険。特に丸ノコ。DIYで最も事故が多い工具の一つです。
記憶荘では「全部任せてください」とは言わない。「プロがやるべきことだけ請け負う」がスタンスです。
最初の打ち合わせで、工事項目を一つずつ洗い出す。そして「これはプロ」「これはDIYできます」「これはDIYしてもいいけど、仕上がりに差が出ます」と、正直に伝える。
DIYする部分については、やり方のアドバイスもする。必要な道具、手順、注意点。現場で一緒にやりながら教えることもある。
この分業モデルで、CROSSOVERでは総額90万円に収まった。全部プロに任せていたら、150万円は超えていただろう。
「どこまで自分でやれるか」を一緒に考えるところから、記憶荘の仕事は始まります。
まだ何も決まっていなくても、大丈夫です。
物件未定でもOK。断りはLINE1本で完了です。