店舗物件を探す前にやるべきこと|「基準」がないまま探すと失敗する理由
Property Criteria

店舗物件を探す前にやるべきこと|「基準」がないまま探すと失敗する理由

コラム2026.04.14
#物件探し#出店準備#テナント選び#開業準備#事業計画#店舗物件

「いい物件ないですか?」——この質問に、不動産屋も内装屋も正直困る。なぜなら「いい物件」の定義が人によってまったく違うから。物件探しで最も重要なのは、良い物件を見つけることではない。自分にとっての「良い物件」が何かを、先に定義することです。基準がないまま物件を探すと、ほぼ確実に判断を誤ります。

No Criteria
基準がないとどうなるか

基準を持たないまま物件探しを始めると、こうなる。

「ここ、なんか良さそう」「この立地なら自分でもいけるかも」——こういう「感覚」で物件を選んでしまう。感覚が悪いわけではないが、感覚だけだと後から致命的な問題に気づく。

実際にあったケースを挙げる。

・「雰囲気が良かったから」で契約したが、ダクトが通せず換気扇だけでは排煙基準を満たせなかった ・「家賃が安かったから」で決めたが、電気容量が足りずエアコンと厨房機器が同時に使えなかった ・「駅近だったから」で選んだが、ターゲット層がそのエリアにいなかった ・「広かったから」で契約したが、広すぎて内装工事費と毎月の家賃が首を絞めた

どれも、基準を事前に整理していれば防げた失敗です。

Who & What
最初に決めるべきは「誰に・何を・どう提供するか」

物件の条件を考える前に、まず事業の核を整理する。

【1. 客層は誰か】 ターゲットの年齢層、性別、ライフスタイル、来店動機。これが曖昧だと、エリアも内装も定まらない。「20代〜30代の女性が仕事帰りに一人でも入れるカフェ」と「ファミリーが週末にゆっくりできるカフェ」では、必要な立地も内装もまったく違う。

【2. どんな形で迎えたいか】 席数、滞在時間、客単価。カウンター中心なのかテーブル席なのか。回転率で稼ぐのか客単価で稼ぐのか。これが物件の広さ(坪数)を決める基準になる。

【3. 集客方法は何か】 通行量で自然集客するのか、SNSや口コミで呼ぶのか、デリバリーがメインか。通行量に頼るなら路面店が必須だが、SNS集客がメインなら2階や地下でも家賃を抑えられる。

この3つが決まって初めて、「どんな物件が必要か」が見えてくる。

物件探しの前に決める3つの基準フロー図
Area
エリアの基準——「なんとなく」で選ばない

エリア選びは感覚でやりがちだが、具体的に計算して決めるべき。

【ターゲットがいるか】 その客層がそのエリアに日常的にいるか。住んでいるか、働いているか、通過するか。たとえば「ビジネスマン向けランチ」ならオフィス街。「子連れママ向け」なら住宅地のそば。ターゲットと立地がズレていたら、どれだけ良い店を作っても人は来ない。

【競合はどれくらいいるか】 同業種が多いエリアは需要があるとも言えるが、差別化できないと埋もれる。逆に、同業種がゼロのエリアは需要がない可能性もある。実際にそのエリアを歩いて、競合の繁盛具合を見るのが一番確実。

【家賃相場は予算に合うか】 一般的に、家賃は売上の10%以内が目安。月商300万円を見込むなら家賃30万円まで。この計算をせずに「ちょっと高いけどいい場所だから」で選ぶと、毎月の固定費に潰される。

Facility
物件の設備条件——内装屋が見るポイント

不動産の図面だけでは判断できない、内装工事に直結する設備条件がある。物件を見る前に「最低限必要な条件」をリストにしておくと、無駄な内見を減らせる。

【電気容量】 飲食店なら最低でも動力(三相200V)が引ける物件が必要。エアコン、厨房機器、照明を同時に稼働させるには、30A以上の容量が欲しい。美容室はドライヤーの同時使用を考えると電気容量の確認が特に重要。

【給排水】 厨房やシャンプー台の位置は、既存の給排水管の位置で大きく制約される。配管を延長すれば自由度は上がるが、費用も上がる。居抜き物件なら前テナントの配管がそのまま使えるかが大きなポイント。

【ダクト・換気】 飲食店(特に焼肉、ラーメン、焼鳥など煙が出る業態)はダクト工事が必須。ダクトが通せるルートがあるかどうかは、物件の構造で決まる。後から「ダクトが通せません」と判明するケースは実際に多い。

【天井高・搬入経路】 天井高が低いと圧迫感が出る。飲食店なら2.4m以上は欲しい。また、大型機器(冷蔵庫、業務用オーブンなど)が搬入できる経路があるかも確認が必要。エレベーターに入らない、階段が狭い、という理由で機器が入らないケースもある。

Budget
予算の基準——「家賃」だけで考えない

物件にかかるお金は家賃だけではない。トータルで計算しないと判断を誤る。

【初期費用の内訳】 ・敷金(3〜10ヶ月分) ・礼金(0〜2ヶ月分) ・仲介手数料(1ヶ月分) ・前家賃(1〜2ヶ月分) ・保証会社利用料

家賃20万円の物件でも、敷金6ヶ月なら初期費用だけで200万円を超える。これに内装工事費、厨房機器費、家具費が乗る。

【ランニングコスト】 ・家賃 ・共益費・管理費 ・水道光熱費 ・原状回復の積立(退去時に必要)

家賃が安くても、共益費が高い物件もある。エアコンが古くて電気代がかさむ物件もある。月々のランニングコストを「家賃+共益費+光熱費の概算」でざっくり計算しておく。

【内装工事費との連動】 スケルトン物件は家賃が安い傾向があるが、内装工事費が高くなる。居抜き物件は家賃が高めでも、工事費を大幅に抑えられる。「家賃×契約年数+内装工事費」のトータルで比較するのが正しい判断基準です。

Checklist
基準シートを作ってから物件を探す

まとめとして、物件探しの前に埋めるべき「基準シート」を挙げます。

【事業の核】 □ ターゲット客層(年齢・性別・来店動機) □ 提供スタイル(席数・客単価・回転率) □ 集客方法(通行量 or SNS or デリバリー)

【エリア条件】 □ 希望エリア(第1〜第3候補) □ ターゲットがそのエリアにいる根拠 □ 家賃の上限(月商の10%以内)

【物件スペック】 □ 必要な広さ(坪数) □ 電気容量の条件 □ 給排水の条件 □ ダクト・換気の条件 □ 天井高・搬入経路の条件 □ スケルトン or 居抜き

【予算】 □ 初期費用の上限 □ 月々のランニングコスト上限 □ 内装工事費の予算

このシートが埋まった状態で物件を探せば、「見るべき物件」と「見なくていい物件」が一瞬で判断できる。不動産屋にもこのシートを見せれば、的外れな物件を紹介されることがなくなります。

記憶荘では、このシートの整理から一緒にやっています。LINEで「物件探しの相談をしたい」と送ってもらえれば、基準作りから始めましょう。

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